2008年01月17日

国の競争優位

ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は日米欧10カ国の100以上の産業を分析し、1990年に「国の競争優位」を発表した。
これによると、あらゆる産業において競争力を有する国は存在せず、どの国も特定の産業においてのみ競争力を有していた。さらに、その競争力を支えるイノベーションの源泉に以下の4つの要素を挙げ、これら4つの要素が企業間競争を刺激する場合に、イノベーションが活発化され、産業競争力が構築されるとしている。また、4つの要素を図示すると菱形になることから、ダイヤモンドフレームワークと呼ばれている。
019_ダイアモンド.gif
ここで、4つの要素について簡単に以下に説明する。

@要素条件
要素条件とは人材や科学技術インフラなどの企業間の競争を可能にするインプットのことである。
A関連・支援産業
複数のクラスターが相互に関連する場合には、関連技術が融合し、新たなイノベーションが生みだされるとしている。
(クラスター:特定分野の企業・業界・専門機関が国・都市に地理的に集中している状態)
B需要条件
国際的な競争力を有するためには、消費者のニーズや行動などの国内需要が洗練されている必要がある。
Cライバル間競争
国内における企業間競争が、その産業の国際的な競争力に影響を与えるとしている。
posted by omatsu at 17:23 | Comment(2) | TrackBack(1) | 国際化戦略

2008年01月03日

バートレットとゴーシャルのトランスナショナル企業

企業の国際化・多国籍化に伴ない、組織体制の効率化を追求するのが、ストップフォードの発展モデルであった。さらに、新たな国際化の企業形態としてクリストファー・バートレットとスマントラ・ゴーシャルは、トランスナショナル企業モデルを提唱した。

トランスナショナル企業とは、企業レベルではなく企業活動レベルを考慮した組織体制の事で、本国親会社と各国とで役割・構造を分化させ、各国に分散した経営資源を世界規模のネットワーク網を用いて経営する組織形態のことである。

例えば、規模の経済が働く生産活動は中央に集中するが、地域への適応がより重要になるマーケティング等の活動は各国に分散される。自動車業界においては、まずエンジニアが世界中の消費者の嗜好に共通する特性や部品を洗い出して全世界共通の基本プラットフォームを設計し、基本プラットフォームの上に各地域に特有の特性を付け加えて生産する。そうすることで、全世界共通の基本プラットフォームについては、世界レベルの規模の経済を実現でき、各国の多様性への適用が必要な特徴については各国のニーズに沿った製品を提供できる。
posted by omatsu at 13:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月22日

ストップフォードの発展モデルB

やがて、世界規模の事業部制組織の採用は、各事業部間で重複した機能を有する非効率面やセクショナリズムなどの事業部制組織のデメリットに直面することになる。そこで、グローバル規模でのさらなる経営効率化を求める企業は、地域と製品を軸にしたグローバル・マトリックス構造を採用することになる。

ただし、マトリックス構造の組織は、人的資源の共有化や非定型的課題に柔軟に対応できるメリットがある一方で、命令系統の錯綜による組織内のコンフリクトや責任所在が不明確になるデメリットがある点には留意が必要である。

以下に、グローバル・マトリックス構造の例を示した。

018_ストップフォード3.gif
posted by omatsu at 10:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月18日

ストップフォードの発展モデルA

国内事業の重要性の高まりから、国際事業全般を統括する国際事業部が設置されることは前回説明した。その後、世界規模での事業展開を加速させ、さらなる経営効率化を追求すると、当該企業の組織形態は世界規模での事業部制組織へと移行することになる。

世界規模での事業部制組織の方向性としては、世界規模での製品別事業部制組織と世界規模での地域別事業部制組織の二つがある。海外での販売製品の多様化が進展した場合には、世界規模での製品別事業部制組織に移行し、海外販売の重要性は増すものの製品多様化が進展しない場合には、世界規模での地域別事業部制組織に移行する。

以下に、世界規模の製品事業部制組織の例を示した。

018_ストップフォード2.gif
posted by omatsu at 20:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月17日

ストップフォードの発展モデル@

ストップフォードは企業の国際化・多国籍化に伴なう、組織体制の変化について体系的に整理し、それをストップフォードの発展モデルと言う。それによると、組織体制は@国際事業部の設置・A世界的規模の事業部制組織・Bグローバル・マトリックス構造へと、企業の国際化の進展と供に移行する。ここでは、@の国際事業部の設置に関して説明し、以後AとBに関して説明する。

海外事業が国内事業と比較すると小さいものの、その重要性の高まりから、国際事業全般を統括する国際事業部が設置される。これは、親会社の中の国際事業を一元化し、国内事業からの分離を図るための組織構造であると言える。また、国際事業のさらなる拡大に伴って、国際事業部は地域別や製品別に編成されることになる。

国際事業部を設置した組織例を以下に示した。
018_ストップフォード1.gif
posted by omatsu at 20:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月16日

完全所有方式と合弁事業方式

海外の事業先を支配し、収益源の獲得を目指しますのが直接投資であった。ここでは、直接投資による海外進出方式として、完全所有方式と合弁事業方式の2種類について、それぞれのメリットとデメリットを整理する。

完全所有方式とは、親会社が100%出資し、現地子会社の経営権を完全に所有する形態のことである。
完全所有方式のメリットとしては、
・投資収益を親会社が100%獲得可能
・現地子会社を完全にコントロール可能
一方、完全所有方式のデメリットとしては
・為替リスク・カントリーリスクなどの海外進出に伴うリスクを親会社が単独で負担する
・親会社が完全にコントロールするため、現地国民との間で摩擦が生じる

合弁事業方式とは、現地の子会社を現地のパートナーと共同出資し、共同運営する形態のことである。
合弁事業方式のメリットとしては、
・現地パートナーがいることで、現地での活動がスムーズに進む
・海外進出に伴いリスクを現地パートナーにも負担可能
一方、合弁事業方式のデメリットとしては
・現地パートナーの経営管理能力に現地子会社の業績が左右される
・途上国のパートナーは国営企業である場合には、彼らは経営者ではなく官僚的な意思決定をすることがある
・現地パートナーとの間で対立の可能性
・投資収益が完全所有方式と比較して少ない
posted by omatsu at 11:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月14日

直接投資と間接投資

自国の市場が飽和(成熟)または未成熟な場合に、海外に進出(投資)するのが国際化の動機でした。ここで、海外進出(投資)の形態としては直接投資と間接投資の二種類について説明する。

直接投資は海外直接投資とも言われ、海外に販売・生産の拠点を設けるために、海外の事業先を支配し、収益源の獲得を目指します。海外に移転する資源は、人材・技術力・生産設備・経営ノウハウなどの、ありとあらゆる経営資源が一括に海外に移転する。

一方、間接投資は海外間接投資と言われ、キャピタルゲインやインカムゲインの獲得するため、海外の株式や債券を購入することである。海外に移転する資源としては、有価証券購入時の資金だけである。
posted by omatsu at 10:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月11日

国際化のリスク

企業が国際化を進める際(海外進出)に、認識すべきリスクとしては、海外進出に伴う事業リスク・カントリーリスク・為替リスクの3点がある。

海外進出に伴う事業リスクとは、海外に進出することが原因で、事業活動自体に影響するリスクのことである。例としては、フィージビリティ・スタディ(事業計画)の精度の低さ、現地の法制度や商慣行の誤認、インフラの整備状況、原材料の調達困難性、労働者の質、合弁企業とのトラブル、現地経済の悪化などが挙げられる。
事業リスクを抑えるためには、海外進出前に情報収集を徹底することなどが必要である。また、海外進出の意思決定を行う際には、正味現在価値法(NPV法)や内部収益率法(IRR法)などのツールを十分に活用した綿密なフィージビリティ・スタディを行うことも事業リスク軽減の一つである。

カントリーリスクとは、現地政府の政策変更や内乱・紛争の勃発により、海外への投資金額が回収不能になることや、海外での事業活動が停止するリスクである。
カントリー・リスクを抑えるためには、進出国の政治的安定度などを考慮し、同程度の収益性であれば政治的安定度のの高い国へ進出することも考える必要がある。また、一つの国だけに進出するのではなく、進出国を分散させてカントリーリスクを軽減することも可能である。

為替リスクとは、為替相場の変動により、外国通貨の価値が変化することで、損失が発生するリスクのことである。
為替リスクを抑えるには、先物為替予約や通貨オプションなどのデリバティブを組み合わせる必要がある。

ただし、中小企業の場合は大企業に比べて経営資源が乏しいため、上記のリスク以外にも、資金面の問題・海外人材の不足・現地パートナーの不在などの問題を抱えているのが現状である。
posted by omatsu at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

2007年12月10日

国際化戦略の動機

国際化戦略の動機については、海外への輸出と海外現地生産の大きく二つの動機が存在する。

海外への輸出の動機としては、自国内の市場の限界を認識した場合に、それを解決する手段として海外市場への輸出を開始する。自国内の市場の限界を認識するケースとして、自国の市場が成熟(飽和)し、今後は市場の拡大が望めないケースや、自国の市場が未成熟で、長期的に見ても市場の拡大が望めないケースがある。

海外現地生産の動機としては、現地政府(政策)への対応や、コスト優位の追求、海外市場への適応がある。
現地政府(政策)への対応とは、現地政府の輸入規制をはじめとする自国産業保護政策との摩擦回避を目的として、生産拠点を海外に移転することである。
コスト優位の追求とは、人件費や原材料費の観点から自国より海外の方が低コストで生産できる場合、生産拠点を海外を移転することである。近年、製造業を中心にアジアを生産拠点にするのはこのためである。
海外市場への適応とは、現地市場のニーズを的確に吸収し、それを汲み取った製品を迅速に開発するために、生産拠点をこれまで輸出してきた国に移転することである。

また、企業が海外現地生産が進展すると、国内での雇用が減少することや、海外への技術移転が原因で自国の技術力が劣化するなどの産業の空洞化の問題点が議論されている。
posted by omatsu at 21:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際化戦略

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