2007年12月03日

生産性のジレンマ

「生産性のジレンマ」とは産業の成熟化に伴い生産性は向上するがイノベーション(技術革新)は少なくなるというイノベーションと生産性のトレードオフの関係を説明するモデルであり、製品ライフサイクル仮説とイノベーション、競争戦略との関係を基に説明する。

・導入期〜成長期初期
製品の品質や機能の差別化戦略が中心になり、この戦略を支えるために様々なプロダクト・イノベーションが創出される。

・成長期
成長期において、様々な製品の中から事実上の標準としての地位を占めるような支配的なデザインが(これをドミナントデザインと言う)現れる。ドミナントデザインが一旦確立されると企業間の競争の焦点は、新しい製品デザインを構築することから、より低価格で製品を提供するというコストリーダーシップ戦略にシフトし、様々なプロセス・イノベーションが創出される。

・成熟期
成熟期において、プロセス・イノベーションをめぐる企業間競争の活発化に伴って生産性は向上するものの、プロダクト・イノベーションは創出されにくくなる傾向がある。つまり、小さな革新(インクリメンタル・イノベーション)は断片的に行われ、生産性は向上するが、そのためにかえって大きな革新が創出されにくくなる。このように、生産性が高められたがゆえに、大きなイノベーションが創出されなくなる現象を「生産性のジレンマ」という。

また、プロダクト・イノベーションの結果、自社製品をドミナントデザインとして確立できたとしても、企業間競争の焦点はプロセス・イノベーションにシフトするので、その確立に成功した企業が、競争優位を持続できない事もある。イノベーターにとって低コストで生産可能な生産設備などの補完的資産を確保するという事も競争優位を持続するための重要な要素になってくる点にも注意が必要である。

※補足
・プロダクト・イノベーション:画期的な新製品を開発する技術革新の事
・プロセス・イノベーション:生産の効率化を図るべく、既存生産工程や生産技術を開発する技術開発の事
posted by omatsu at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 競争戦略
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